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スペンスマルクの壮大な仮説と、銀河系の中に生きる我々(松浦 晋也=ノンフィクション・ライター)


ここから引用:
スペンスマルクの壮大な仮説と、銀河系の中に生きる我々(松浦 晋也=ノンフィクション・ライター)
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080916/1007987/?P=1
 スペンスマルクの説は、もしも本当ならば昨今の地球温暖化問題など吹っ飛んでしまうほどの破壊力がある。雲の増減による地表面へ入射する太陽からの熱エネルギーの増減は、非常に大きい。二酸化炭素の温室効果どころではない。それが、銀河系の彼方から飛んでくる宇宙線の量に依存するなら、地球環境変動は、もう人間がどうこうできるものではなくなる。


ここから引用:

スペンスマルクの壮大な仮説と、銀河系の中に生きる我々
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080916/1007987/?P=1
 太陽活動が不活発になると、なぜ地球が寒冷化するのか――「太陽か地球に届く熱エネルギーが減れば、地球が冷えるのは当然だろ」。いやいや、そう簡単なことではない。もちろんそれも影響するが、それだけでは説明がつかない。

 この問題で、今、地球温暖化の問題とも絡んで科学者の間に議論を巻き起こしている仮説がある。

 デンマークのヘンリク・スペンスマルクという宇宙物理学者が1997年に提唱した仮説だ。一言でいえば、「地球上の雲は、銀河系の彼方から飛んでくる強力な宇宙線のせいでできる」というものである。現在、「スペンスマルク効果」と呼ばれている。

 「なんのこっちゃ?」と思う人も多いだろう。空を流れる雲はできるのが当たり前。それに銀河宇宙線が関連しているとはどういうことだろうか。

 しかし、だ。雲ができるという現象は、よくよく考えるとかなり難しい問題をはらんでいる。飽和水蒸気に何らかの刺激が加わると一気に水蒸気が液化し、大気中を浮遊する小さな塵を核にして水の微粒子となる、と、こんなシナリオが描けるが、では何らかの刺激とは何なのだろうか。

 そこでスペンスマルクは、銀河系空間から飛んでくる高いエネルギーを持った宇宙線が、雲が生成するきっかけであると提唱した。

 放射線をカウントする霧箱という実験装置を見たことがあるだろうか。アルコールなどの飽和蒸気を満たした箱の中をアルファ粒子などの放射線が通過すると、通過したところの飽和蒸気が刺激されて霧となり、放射線の軌跡の通りに、霧の筋ができる。
 これと同じ原理だ。高エネルギーの銀河宇宙線が大気上層部に到達し、その中を飛ぶと、大気中の水蒸気が凝結する。それが核になって雲ができるというわけである。太陽からも様々な粒子線が地球に吹き付けているが、エネルギーが小さいので雲を生成するには至らない。

 雲は光エネルギーを効率的に反射する。雲ができると、地球は太陽からの熱エネルギーを吸収する割合が減る。このため、雲が増えると地球は寒冷化する。
 つまり、地球に到達する銀河宇宙線が増えると、雲が増えて地球は寒冷化、銀河宇宙線が減ると、雲が少なくなって地球は温暖化、ということになる。



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 では、地球に降り注ぐ銀河宇宙線の量を変化させているのはなにか、といえば、スペンスマルクは、太陽の磁場の強さだ、と主張するのである。

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 日本の太陽観測衛星「ひので」が2006年11月に撮影した、太陽のX線画像(国立天文台/JAXA 提供)。白く輝く領域は「活動領域」と呼ばれる。黒点が存在する場所で、ここには非常に強い磁場が存在する。黒点は表面に一時的に出現した磁極でもある。つまり太陽は大まかには地球のような磁極を持つが、同時に一時的な磁極(黒点)を多数表面に発生させているのだ。なお、太陽の磁極は11年周期でNとSが反転する。その時、極域から約10億トンものガスが噴出するコロナ質量放出という現象が起きる。

 太陽磁場が強いと、荷電粒子である銀河宇宙線は磁場に捕まって、太陽の両磁極方向に誘導されたり、進む方向を逸らされたりする。従って地球にやってくる銀河宇宙線は減る。太陽磁場が弱いと逆に地球に飛来する銀河宇宙線は増える。

 で、黒点は磁場を含めた太陽活動のバロメーターなのだ。黒点が多いと活動は活発。逆に少ないと不活発というのは前回書いた通り。

 これらを総合すると、太陽黒点が減る→地球寒冷化、太陽黒点が増える→地球温暖化、ということになる。太陽黒点が減る→太陽活動不活発化→地球に飛来する銀河宇宙線が増大→雲が増加→地球寒冷化、というわけだね。

 スペンスマルクの説は、もしも本当ならば昨今の地球温暖化問題など吹っ飛んでしまうほどの破壊力がある。雲の増減による地表面へ入射する太陽からの熱エネルギーの増減は、非常に大きい。二酸化炭素の温室効果どころではない。それが、銀河系の彼方から飛んでくる宇宙線の量に依存するなら、地球環境変動は、もう人間がどうこうできるものではなくなる。

 彼の説に従えば、1000光年ぐらいの宇宙的スケールでは割と近めの場所で、超新星が爆発して、強烈な宇宙線が地球に降り注ぎ、毎日曇りの日々が続いて全地球が凍結、などということだって考え得る。あるいは、太陽系は約2億2600万年で銀河系の中を回っているが、その時たまたま宇宙線の密度の高いあたりを通過すると地球は寒冷化する、というシナリオだって描ける。

 つまり我々は地球や太陽系というのみならず、数万光年オーダーの銀河系の中の環境変化に翻弄されて生きているということになる。素晴らしく壮大なビジョンだ。

 もっとも、スペンスマルク効果は、今のところまだ仮説である。賛否両論状態が続いており、どの科学者も認めざるを得ないだけの決定的な証拠は得られていない。

 私の知る限りでは、気候学者の間ではスペンスマルクの説は評判が悪い。何をトンデモなことをいっているんだという扱いである。地球温暖化の問題を議論する、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」では、彼の説を「証拠に乏しい」として排除している。最近になってスペンスマルク説を否定する論文もちらほら提出されるようになった。



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 その一方で、惑星物理学者や高層大気の研究者は、意外なぐらい「雲の成因が銀河宇宙線というのはありうるんじゃないのか」という感触を持っている。浮遊するチリがほとんどない、ぐっと高いところ、旅客機が飛ぶ成層圏のさらに上の中間圏と呼ばれる高さでも雲は発生する。何がそんなところに雲を作っているのだろうか、と考えると宇宙線ぐらいしか考えられないというのだ。あるいは、最近では大気の薄い火星でも雲が流れるのが観測されているが、火星の雲はどんなメカニズムで生成するのか、やはり宇宙線だと考えるとすっきりするという。

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現在、火星表面で探査を行っているアメリカの火星探査機「フェニックス」(Photo by NASA) 。

「フェニックス」が撮影した火星の雲の流れ(Image:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/Texas A&M University )。2008年8月29日の10分間に撮影した画像10枚から作成された。火星の雲も、地球の雲も、同じ銀河宇宙線によって生成しているのだろうか 。

 この手の壮大な仮説は、何十年もああでもないこうでもないと議論し、観測を続けないと、答えが出ないものだ。有名な大陸移動説は、アルフレッド・ウェゲナーが提唱したのが1912年。しかしその後長らく批判され、黙殺され、復活したのは海底の岩石に残る太古の磁場の痕跡を調べることができるようになった 1950年代に入ってからだった。

 スペンスマルク効果も、それぐらいのタイムスパンで検討していくべきものなのだろう。

 取りあえず、現状では、我々人類を含む地球の生き物すべては、周辺数万光年の銀河系空間の環境によって生かされている可能性を意識しておけば十分だろう。

 それにしても、これだけ壮大な二酸化炭素による地球温暖化を真っ向から否定する科学的な仮説が提出されているのに、一気に二酸化炭素の排出権取引などという経済の話に踏み込んでいいのだろうか。

 私は地球温暖化を否定するだけの知識も知見を持ち合わせてはいないが、科学者の間ですら意見の一致を見ていないうちに経済行為に踏み込もうとする態度に、なんともいえないうさんくささを感じている。

(松浦 晋也=ノンフィクション・ライター)
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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