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ツバル2

 ツバルのマタイオ・テキネネ 氏(ツバル天然資源・環境省環境局長)は、IPCC報告書を引用し、地球温暖化によって、ツバルは国家の危機にあると言う。地球温暖化によって、高波の防波堤であるサンゴが死滅し、サイクロンは強大化し、海面は上昇し浸水被害はどんどん拡大する。よって、ツバルは大きな被害を受け最終的には水没、消滅する。ツバルは、地球温暖化の被害を最も強く受ける国であり、最初に水没消滅する国と言うわけだ。

マスコミもこのことを大々的に報道した。政治かも科学者もテレビ、新聞等でツバルの危機を訴えた。環境NGOは、ツバルを救えと声を上げた。だから、日本国民でツバルの窮状=国家危機のことを知らない人のほうが少ないだろう。

しかし、私はツバルには、地球温暖化の被害は出ていないと考える。「ツバルを救え!」と言うのは、「鯨を救え!」と同類の政治スローガンである。ツバルの現実に目をそむけたり、隠したりする人たちが言う言葉である。現実の問題に目をそむける人が「ツバルを救える」わけがない。現実に目をそむける人々は、「ツバルを救う」気などはじめからなく、ただ、政治利用しているだけである。いろいろ調べた。その結果をこれから紹介する。

 「水没するツバル」という報道に刺激されてか、日本政府は、「ツバルに対する気候変動適応のための協力可能性」を調査するため、調査団(外務省、国土交通省、環境省、JICA等から構成)を、2008年2月7日(木曜日)から2月25日(月曜日)と2月26日(火曜日)から3月15日(土曜日)に派遣しています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/2/1178143_902.html

そして、最後の仕上げに、日本の国会議員の先生方5名様ご一行が、2008年8月26日ー28日にかけてツバルODA現地調査にお出かけになりました。

その報告書には、報道からは知りえないツバルの現実が克明に記されています。その報告書の内容に沿って、ツバルの現実を見てみましょう。

ここから引用:
 Ⅳ.派遣議員団としての所見
http://www.sangiin.go.jp/japanese/kokusai_kankei/oda_chousa/h20/pdf/2-4.pdf
1.対フィジーODAについて(省略)
(1)医療関連支援について(省略)
(2)南太平洋大学(USP)支援について(省略)
(3)オイスカのマングローブ植林事業について(省略)
2.対ツバルODAについて
今回のツバル訪問は、本議員団の各議員にとり初めての機会となった。人口が1万人弱、面積が 25.9k㎡で東京都の新島とほぼ同じ面積とのことである。
また、フナフチ国際空港に到着した際、本議員団が恵みの雨をもたらしてくれたとして大歓迎していただいたこと、そして行政府の方々、カウプレ(村落共同体)の方々、町で会う人々すべてが明るく素朴であることから、かつての日本に広く見られた古き良き隣組という印象を受けた。
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今回の調査に基づき、地球温暖化による海面上昇の問題、国内の環境問題、国際政治の側面、極小国家の開発の在り方について所見を述べる。
(1)地球温暖化による海面上昇について
我々は、当初、ツバルと言えば「海面上昇で沈みゆく国」という認識を持っていた。テレビや新聞で報道される、水浸しの広場や地面から海水が沸き出るシーンを見て、海面上昇がここまで進んでいるのか、これが地球全体で起こるのか、との危惧を抱いていた。しかし、事前に専門家の書かれた論文・資料、外務省、JICA、国土交通省や環境省の報告書を読むにしたがい、あのような浸水現象は海面上昇とは必ずしも結びつくものではない、との認識を持つに至った。
1892 年に英国が「エリス諸島」としてこの地を植民地にした直後は、フォンガファレ島はその大半がマングローブ林で覆われた湿地であり、満潮時にはわずかな陸地に開いた無数の穴から海水が湧き出ていた。その後の太平洋戦争で、1942 年、米軍が戦闘機の離発着用に 1,500m超の滑走路を作った。その際、埋め立て用の土砂は、フォンガファレ島の陸地に穴を掘りその土砂を使い、さらにそれでは足らないので環礁内の別の州島から採掘・調達された、とのことである。そもそも国土は、珊瑚等の生物の死骸から形成され、鉱物由来の一般的な砂や土は存在しない。極めて海水が浸透しやすい土壌だったのである。したがって、島内の浸水の状況というのは、従来から、大潮の時、特に2~3月の大潮の時に起こっていた現象であることが理解できる。潮位観測のデータでも、潮位上昇があったとの報告、目立った上昇はないとの報告などまちまちである。
推測の域を出ないが、海面上昇はゼロではないにしても、現在起きている浸水状況の最大の原因は別の所にあるように思われる。もちろん、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次報告が示すように、今世紀末までに 18~59 センチも上昇すれば事態は深刻である。
加えて、ファンガファレ島における急激な人口増大の問題も考慮しなくてはならない。19 世紀末には 200 人程度、1973 年には 871 人にすぎなかった。1978年に国家として独立し、その5年後の 1983 年に 2,620 人、そして現在では、国民人口 9,652 人の半数強に当たる 5,300 人が暮らしている。狭い陸地に急激な人口膨張が起きれば、これまで居住地として不適であった海岸近くの砂地や水の湧き出るボロービットの上にも住居が建つことになる。 以上ある島の中30で最大のフォンガファレに首都フナフチがあり、そこに議会、行政府そして警
察、消防などの行政機関・施設、学校、病院などがあれば人口が集中するのは当然である。
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(2)環境問題について
我々は、フォンガファレ島の最北端にあるゴミ処分場を視察し愕然とした。
南太平洋の島々に燦々と注がれる太陽の光、緑の植物、赤や青の原色の鳥そして青い海というイメージとは似ても似つかない光景だったからである。ポリ袋、アルミ缶、鉄くず、古タイヤ、バイク、自動車部品の残骸、さらには医療廃棄物、紙おむつの散乱。悪臭が漂い、虫が飛んでおり、長くいたくないというのが正直な気持ちであった。それは、事前に写真で見てはいたものの、想像を超える光景であった。
かつては人口も少なく、自給自足的な食生活をしていたので、ゴミが出てもそれは自浄能力の範囲内であった。ところが、極めて短い間に首都機能の一極集中、急激な人口膨張、生活嗜好と生活資材の多様化及びこれらの外国からの流入という現象がこの小さな島で起こった。その結果、現在最大の問題となっているゴミ問題が生起することとなる。調査で明らかにされたように、ゴミ収集、焼却を町役場が行っているが、ゴミを分別して収集し適切に処理するというシステムが全くできていない。リサイクルシステムというようなものは存在
しない。そもそもゴミを集め、処理するという経験が無かったのである。残念ながら、行政府は、そうした教育の必要性も理解しているものの、困難であるとの結論を出している。北部のゴミ処分場のみならず、家々の近くにあるボロービットは、野積みのゴミ投棄場と化している。加えて、深刻な問題が屎尿処理である。フォンガファレの人口 5,300 人の年間排出屎尿量は 475 トンと推計される。島のトイレは簡便な浄化槽を経て未処理のまま土壌に染み込ませる仕組みである。また、浄化槽と言っても壊れているものも多い。さらに、人口に相当する数の飼育豚からでる糞尿排水も未処理もまま垂れ流しの状況である。これが地下水や海岸の砂を生み出す有孔虫の生息環境の破壊をもたらす汚染源となっていると考えられる。有孔虫は石灰質の殻を持った体長1~2㎜以下の原生生物であり、1年間に数百に分裂して猛烈な勢いで個体を増やす。「星の砂」と言われる白い砂はこの有孔虫の死骸であ
り、環礁の島々の砂の大部分はこの砂で構成されている。フナフチ環礁ではこうした排水汚染による環境汚染で有孔虫の数が激減しており、もはや生息できない場所が広がっている。さらに、ツバルの環礁の中でもフナフチ環礁だけに目立った環境危機が迫っている、とのことである。したがって、海岸浸食と言われるものは、大部分がこの有孔虫の減少によるものであると推測できる。

(3)国際政治の側面について
ツバルの水没問題が話題となったのは、2002 年のヨハネスブルグ地球サミットの開催された時期からである。時のツバル首相コロア・タラケ氏は、地球温暖化被害による「環境難民」の認定を国連に求める一方で、温暖化対策に消極的な米国や豪州を相手に、国際司法裁判所に提訴する意思を表明した。結局の
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ところ、温暖化と浸水被害との因果関係を科学的に立証できないとの判断により訴訟には至らず、国連での難民認定は実現しなかった。しかし、国連での意思表明を受けて、世界各国が地球温暖化とそれによる海面上昇に強い関心を持ち始めたことは、大きなインパクトを与えたと言えよう。ちなみに、水浸しの集会場として世界的に有名になったヌイ集会場(98 頁)には各国から写真撮影に来る、とのことであった。
また、資料等によれば、2002 年当時、ツバルは海外出稼ぎ労働者の帰国問題を抱えていた。ツバルの北西にあるナウル共和国は燐鉱石の産出により、かつては世界有数の国民所得を誇っていた。しかし、予想されていたとおり、今世紀に入り資源が枯渇してしまい、ツバルから来ていた 1,000 人の労働者が解雇された。そして、同年がナウルによる帰国勧告の最終年に当たっていた。ツバルにとっては、人口の 10%が一度に帰国すれば、ましてフォンガファレ島に1,000 人が来るとなれば、同島の人口は一気に 20%近く増えてしまうことにな
る。こうした事態を避けるには、帰国者の移住先を別に見つける以外にない。
しかし、NZとの移住交渉もはかばかしくない。そこで、水没危機を国際的にアピールする手段に出た、との見方もある。
これらのことから、ツバル水没問題は、出稼ぎ労働者の帰国問題、海外への移住問題という国際政治の側面からも、大いに関連のある問題であることが推測できる。

(4)極小国家の開発の在り方について
ツバルの人口は1万人弱で面積は新島とほぼ同じである。かつては、太平洋の小さな島嶼国の国々は原初的な豊かさを享受していた。自給自足経済の下で、現在の一人当たりGNPでは測れない豊かさ、ゆとりというものを持っていたはずである。しかし、植民地から独立国家へと移行する過程で、これまでにない物資、生活様式、価値観を取り入れざるを得なくなり、様々な矛盾が生じることになった。ゴミ問題がそれを象徴していると言えよう。自給自足型の経済社会に大量生産・大量消費の経済社会のスタイルが入り込んできたのである。
ツバル人にそのすべてを処理できないのは当然である。そこで想起すべきは、開発とは何かである。このことはおのずと、自給自足を主とした社会システムを持つ極小国家に対する開発協力とは何か、適正な援助はどうあるべきかという問題に突き当たる。また、極小国家の開発で考慮すべきは、いかにして自助努力を根付かせるかということである。一般に、極小コミュニティの開発に際しては、何から何まで援助に依存するというモラルハザードを起こす危険がある。この点が、産業の起こりにくい極小コミュニティ開発の課題であろう。我が国としても、行政、財政、地域開発、産業育成、防災など、適正な国づくり支援の在り方について一層の研究が望まれる。
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ツバルと言えば、「海面上昇で沈みゆく国」との観点からのみ捉えられている傾向がある。今回の調査で分かったことは、一言で言えば、現在のところ、浸水の原因は海面上昇によるところは少なく、島の土壌の成り立ち、滑走路建設、人口集中による居住地域の拡大によるところが大きい、また、海岸浸食の原因は、環境汚染により有孔虫が育たないことにあることが大きい、ということである。加えて、人口集中、ゴミ問題に象徴されるように、社会の大きな変化に対応できないことから生じている諸矛盾を解決できない状況にある、と見るべきであろう。もちろん、IPCCの報告のように、今後、数十センチも海面が上昇すれば、ツバルは確実に沈み行く国となってしまい、極めて深刻な事態となろう。また、そうであれば同様の深刻な事態は世界の海抜ゼロメートル地帯で起こりうるであろうし、地球温暖化による海面上昇がいかに大きな問題であるかが十分理解できる。
我が国は、本年(2008 年)7月、「ツバル気候変動対策(取り進め方)」を決定し、「調査の結果、水資源、防災、代替エネルギー、廃棄物、海岸保全の5分野の対策の必要性が確認された。」とした。また、豪州、NZ、EUなどとの協議の結果、我が国として、5分野のうち、「海岸保全施策、防災、代替エネルギーの3分野において協力を進める。」とした。今後、これら3分野を中心に、ツバルの実情に適した援助、換言すれば、ツバル流の持続可能な開発を
実現できるODAの在り方が求められよう。
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