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温暖化問題の根拠となったIPCC報告書 次回は信頼性を取り戻せるのか

2011.1.23 07:00 (1/4ページ)
http://sankei.jp.msn.com/science/news/110123/scn11012307010006-n1.htm
 地球温暖化問題で、科学的根拠として引用されてきた国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の評価報告書。現在、2014年の第5次の報告書にむけて作業が始まっている。第4次は記述に一部誤りが見つかり信頼性を疑う声もあった。全体として問題はないという結論が出されているが第5次作成にあたっては、信頼性を確保していかなければならない。報告書は政府の国際交渉にも影響する。何が改善され、何が行われているのか。

信頼性は回復できるか


 1月12日、IPCCの専門家が集まった茨城県つくば市の国際会議場。来日したパチャウリ議長は記者会見で、第5次の報告書の信頼性を確保するために「多くの人たちの目を通し、その過程で手続きを強化していく」と語った。

 具体的には、各国政府の推薦で選ばれた科学者らが作りあげた草稿(ドラフト)に寄せられたコメントについてきちんと対応したかについて作業を書面に残し、統括執筆責任者もそれにサインするという。

 また、第4次では9万といったコメントが寄せられた。そうした膨大なコメントに対応するため、チェックする責任者のもとに文献資料などを探す補助者をつけるといった物理的なサポートも行うという。

ヒマラヤの氷河の消失

 2007年にまとまった第4次評価報告書で誤りだったのは「ヒマラヤ氷河が2035年に消失する」やオランダの海面下の国土の割合に関しての記述だった。このことについて英国・下院の科学技術委員会に設けられた委員会は一部データの取り扱いに問題はあったが科学的信頼性はあると結論づけた。一方、方法について検証した国際学術組織「インターアカデミーカウンシル(IAC)」は誤りを最小限にとどめるため、支援のスタッフをつけることなどの必要性を指摘していた。今回の改善措置はIACの報告書を受けたものだ。


グレー(灰色)文書は?

 つくば市で開かれた会議は、気候変動による生態系や経済的な被害や対策などをまとめる第2グループの専門家会合だった。

 IPCCの報告書には、気候システムや気候変動の自然科学的根拠に関する評価を行う第1グループ、対策の評価を行う第3グループがある。その中でも第2グループの報告は、各地域の海面の上昇でどんな影響があるかなどインパクトが強く、メディアで大きく報道された。ヒマラヤの氷河消滅の記述があったのはこの第2グループの報告書だった。

 ここで問題として指摘されたのは、記述のデータが専門誌などで査読されたものではなく「グレーペーパー」と呼ばれるものだったことだ。

 IPCCの報告書で引用するデータはきちんと査読されていることが原則だが、途上国の温暖化の影響についての論文は少ない。また、現地の言語で書かれていることが多く、英語圏の先進国と比べるとどうしても査読の文献は少なくなってしまう。査読を厳密に引用の条件にすると報告書が偏ったり、網羅できなくなる恐れがある。

透明性と追跡性

 省庁が作る白書や、世界銀行などの報告書もこのグレー文献に入る。グレーだからといって信頼性が低いというわけではないが、その取り扱いについて、スイス・ベルン大学や米カーネギー科学研究所、ドイツのポツダム気候影響研究所などがついており、必要な場合は執筆者らに文献検索などの技術的な支援を行うとした。これは第4次にも行われていたが、IACの検証報告書が出された後に開かれたIPCC総会の中でも改めて明記された。


 こうしたさまざまな“改善”措置について、第5次の統括執筆者で一人である三村信男・茨城大教授は「第4次の報告書でも草稿につけられたコメントにきちんと対応したかについて確認してきたが、さらに書面やサインを残すといった手続きなどを通じて厳密化することになった。グレー文献の取り扱いも含め手順を明らかにして、透明性と追跡性を確保する」と話す。

海面はさらに上昇?

 第2グループの報告書には新たに、異常気象と再生可能エネルギーの導入可能性について評価項目が追加されることになっている。

 オーストラリアやブラジルなどで起こっている未曾有の洪水、巨大化するハリケーンなど世界各地でこれまでにないほどの異常気象が起きている。

 最近、今世紀末までに海面水位上昇が最大で2メートル、低くて1メートルとする予測がまとまった。第4次評価報告書では約60~20センチとなっており4次の予測を大きく上回ってしまう。

 三村教授ら研究グループがまとめた予測では、日本で気候変動の対策がとらないままでは最悪の場合、今世紀末には洪水の被害面積が最大1200平方キロ増え、台風の強大化などで西日本で年間44万人が浸水などの被害を受けるとしている。

 最近の海面上昇の予測を反映させるとこれよりさらに被害が拡大することを意味する。パキスタンやバングラデシュなどの途上国ではさらにその被害が甚大になるだろう。


2度上昇に抑える意味

 昨年12月の国連の気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)でまとまったカンクン合意では、「共有のビジョン」として産業革命以降気温上昇を2度以内に抑えるという文言が入った。

 この2度について、IPCC設立当初から深く関わってきた地球環境産業技術研究機構(RITE)副理事長の茅陽一氏ら科学者有志は昨年11月時点で、意見書を発表した。

 地球温暖化が起きていることが疑う余地がないことや、20世紀後半以降に起きた温度上昇の大部分が人類の活動による温室効果ガス増加による可能性が非常に高いとするIPCCの報告書は妥当であるとしたうえで「温室効果ガスの削減目標と2度抑制、そのための対策である2050年の世界の温室効果ガス排出半減などのG8で提唱された目標はあくまで政治的判断の一つであり、科学的要請ではない」と結論づけた。

 確かにそのとおりだ。IPCCは政策提言を行っているわけではない。ただ、第5次で示される報告書のシナリオに沿って、大きな被害を受ける島嶼(とうしょ)国といった途上国や貧困国が存亡をかけて、先進国に対応を迫るだろう。

 浜中裕徳・地球環境研究機関(IGES)理事長は「カンクン合意で、2015年までに気温上昇の抑制を2度か(島嶼国が求めていた)1・5度抑制かといったことの見直しを行うことになっている。第5次報告書はそういった意味でも重要だ」と指摘する。

 IPCC評価報告書の中立性そして不確実性をふまえたうえで、科学の成果を「智恵」にするかどうかは、各国の政策決定者にかかることになる。(杉浦美香・社会部環境省担当)


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